食肉部門の基礎知識
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食肉は、食卓のメインディシュの材料として最も頻度高く使われ、また、その料理には多くの食材が使われます。
従って、食肉を販売することで、多くの関連商品も同時に購買され、客単価が上がることになります。
スーパーマーケット店舗の中で食肉が機関車的役割を担っていると言われる理由です。
一方、他の生鮮食品とは違った以下の特徴があり、その販売者として専門の知識と技術が求められます。
➊ 安全・安心・適正な表示への高い要求
最近はすべての食品について、安全・安心について要求・基準が高くなっていますが、特に食肉は、BSE(狂牛病)、口蹄疫、鳥インフルエンザなどの病気の発生や産地・メーカーによる偽装表示の多発により、商品に対する安全・安心・表示に対するお客様の要求は他の食品以上に高くなっています。
それに対応するため、行政や業界で多くの法律や基準が決められています。
また、商品管理上の衛生管理、鮮度管理を徹底する必要があります。
➋ 季節ごとの旬がない
自然の影響を大きく受ける青果物や水産物には、その食材がもっとも多く採れ、おいしいくなる旬がありますが、食肉には旬がありません。
従って、販売にあたって、季節の料理や旬の野菜を使ったメニューで季節感を打ち出したり、催事や行事ほか、さまざまな企画で常に変化をつけることが求められます。
➌ 原料の種類が少ない
青果部門や水産部門には何百種類もの商品がありますが、食肉部門には牛、豚、鶏、その他を原料とした商品しかありません。
これらの原料から、用途・料理メニューを切り口にバラエティ豊かな商品が作られます。
大切なのは、食肉部門は単に「素材を提供」するのではなく、「料理メニューを提案」しているということを意識し、その知識を深めて行くことです。
また、健康面からも食肉の持っている栄養学的な機能を十分理解し、伝えていくことも販売する担当者の役割です。
(2)SMの食肉部門の使命
私たちスーパーマーケット(SM)は、限られた商圏(小商圏)のお客様が、毎日の食事の支度をするために、普段着で気軽に頻繁に買物をする店舗であり、パートナーとしてその期待に応えることが求められています。
店舗で優先されるのは、特別な商品の販売ではなく、生活必需品が、お客様の求める品質、鮮度、価格で品切れすることなくいつも売場に揃っていることです。
特に食肉は、毎日のおかずのメインとなることが多い食材ですので、お客様の多くが購入する商品については、品切れしていたり、鮮度が劣化していると信用を失ってしまいます。
これを店舗で日々継続して行くことは、簡単なことではありません。
天候や曜日による客数の増減や価格(相場)による売れ行きの変化など、状況に的確に対応できる知識、技術が要求されることは言うまでもありません。
特に、品質や鮮度の管理については基本を徹底、継続することが大切です。
そして、今後の食肉部門の対応すべきキーポイント
として以下の2点があげられます。
➊ 健康志向の高まり ➠ 生活習慣病と肥満の抑制
➋ 簡便商品の提供 ➠ なるべく調理時間を短く
つまり、お客様のかかえる問題に対して、解決策を提案をしていくことです。
↓
そのメインディッシュを提供するのが食肉部門
↓
鮮魚部門に比べ、関連するメニューが多く、食肉の販売は関連商品の販売を増やし、客単価の増加に貢献

【 年間1人当たりの食肉と魚介類の消費量の推移 】

日本人の食生活はこの50~60年余りで大きく変化しています。
1960年には1人1年当たりの食肉(牛肉・豚肉・鶏肉等)供給量はわずかに3.5kgでしたが、2013年はその10倍の30kgとなりました。
一方、魚介類は28kg(2001年には40kgまで増加)から27kgにと減少しています。
魚介類の消費が減っている理由として、世界的な需要の増加による価格の上昇があり、一方、食の欧米化が進んでいることから、食肉をより多く消費するようになりました。
➋ 現在最も食べられている食肉は鶏肉
食肉では、長年豚肉が不動の第1位でしたが、平成24年には、安価でヘルシーなイメージがある鶏肉が第1位となり、消費者の低価格志向や健康志向に支えられ、鶏肉が現在も日本で最も食べられている食肉となっています。
食肉の消費構成を見ると、昭和50年代前半までは家計消費(内食)が全体の消費量の半分以上を占めていましたが、平成に入ると外食における消費が増え、家計消費の割合は半分を割っています。
牛肉は焼肉や牛丼など、鶏肉はフライドチキンや焼鳥など、外食における消費が多く、豚肉は、ハムやソーセージの消費が多いため、加工品の割合が高い傾向にあります。
➌ 食肉は大きく筋肉である「肉」と内臓などの「畜産副産物」(バラエティーミート)に分かれます。
畜産副産物は、モツやホルモンと呼ばれる場合があります。
2.鮮度の重要性
■ キーポイント
納品された食肉は、時間とともに、また温度によって鮮度低下が進みます。
大切なことは、一度低下した鮮度はもとに戻すことができないこと、つまり、鮮度低下を遅らせることが、商品づくり~販売の最大のキーポイント
となります。
(1)食肉の鮮度
牛、豚、鶏などの肉は死後、硬直を経て、自己消化によって肉質が柔らかくなり、うまみを増して、はじめて風味のある 食肉になります。
肉の場合はこの過程を熟成と呼びますが、魚に比べ筋肉組織が密な分、そのスピードは緩慢です。
牛で死後硬直が約1日、熟成期間は数日におよびます。
食べ頃になるまでの時間は、身体の大きさに比例し、鶏、豚、牛の順で長くなります。
。
体の小さい鶏は熟成期間が短く、劣化が早いため新しさが 要求されますが、牛の場合、特に柔らかさを出すために1ヵ月 以上といった長期熟成を行うこともあります。
ただし、店舗に納品された肉は、すでに熟成を経たもので、品質劣化がはじまっています。
特に鶏肉やミンチの鮮度低下のスピードは速く、作業のスピード、在庫管理(含む売場)に十分に注意する必要があります。
● お客様が食肉売場で最も重要視するのは、「鮮度」
食肉の商品づくりの多くは、加工をともない、そのため専門的な知識と技術を持つことで、より高品質でおいしい商品を提供することができます。
青果物や魚介類などは、出荷から販売までの流通段階において商品形態はあまり変わりませんが、それに対し食肉の場合には、生産者から出荷される時は生きた牛や豚などであったものが、販売される段階ではスライスされたり、ステーキ用にカットされた食肉という全く違った形態となります。
また、食肉は、鶏肉を除いて死後すぐは、肉が硬く風味がなく食べられなく、熟成を経て食肉として店舗に納品されます。
➋ 商品化の技術力が決め手 食肉部門においては商品化の力が、他の店との競争に打ち勝つキメ手になります。
それは、食肉部門の商品が単に新鮮なものを仕入れて並べるのでなく、仕入れた商品を秀れた技術によって、加工して作られるものだからです。
青果や水産には何百種類もの商品がありますが、畜産物には牛、豚、鶏とその他いくつかの肉種しかありません。
これらの原料から、バラエティ豊かな商品を作り出します。
従って、食肉部門では、商品の知識と加工技術が特に重要となります。

大切なことは、一度低下した鮮度はもとに戻すことができないこと、つまり、鮮度低下を遅らせることが、商品づくり~販売の最大のキーポイント
となります。
2.鮮度の重要性
納品された食肉は、時間とともに、また温度によって鮮度低下が進みます。
大切なことは、一度低下した鮮度はもとに戻すことができないこと、つまり、鮮度低下を遅らせることが、商品づくり~販売の最大のキーポイント
となります。
(1)食肉の鮮度 色々な調査が実施されていますが、常に「鮮度」が第一に上げられ、「品揃え」を上回っています。
牛、豚、鶏などの肉は死後、硬直を経て、自己消化によって肉質が柔らかくなり、うまみを増して、はじめて風味のある 食肉になります。
肉の場合はこの過程を熟成と呼びますが、魚に比べ筋肉組織が密な分、そのスピードは緩慢です。
牛で死後硬直が約1日、熟成期間は数日におよびます。
食べ頃になるまでの時間は、身体の大きさに比例し、鶏、豚、牛の順で長くなります。
体の小さい鶏は熟成期間が短く、劣化が早いため新しさが要求されますが、牛の場合、特に柔らかさを出すために1ヵ月 以上といった長期熟成を行うこともあります。
ただし、店舗に納品された肉は、すでに熟成を経たもので、品質劣化がはじまっています。
。
特に鶏肉やミンチの鮮度低下のスピードは速く、作業のスピード、在庫管理(含む売場)に十分に注意する必要があります。
● お客様が食肉売場で最も重要視するのは、「鮮度」
どれも時間とともに進行し、温度上昇による細菌の増殖、酸化の進行が原因となります。

健康志向の中で、お肉を食べると「カロリーが高い」「健康に悪い」などといった誤解がよくあります。
しかし、食肉は、良質なタンパク質を手軽にとれる重要な食品です。
まず、販売側の皆さんが食肉の持っている栄養学的な機能を十分理解することが大切です。
(1)食肉に含まれる栄養素と効能 食肉には、健康と美容に欠かせないタンパク質やビタミンB群、貧血を予防する鉄分など、優れた栄養成分が豊富に含まれています。
特に食肉に含まれている動物性タンパク質はとてもすぐれているものです。
タンパク質を構成するアミノ酸約20種類のうち、体内で作り出すことができないのは“必須アミノ酸”と呼ばれる8種類で、8種類のうちどれか1つ欠けても、重大な栄養障害が起きてしまいます。
食肉に含まれている動物性タンパク質は、この8種類をバランスよく含んでおり、また植物性タンパク質と比べて必須アミノ酸が多く含まれているのです。
しかも体内の吸収率が植物性タンパク質よりも高く、食肉は良質なタンパク質として満点の評価をされています。
【 畜種別の主な栄養成分の特徴と効能 】
特に季節ごとに旬の野菜と組合わせて料理をすることが大切です。
淡白な野菜は、肉の持つうま味とよく合い、さらにおいしくなります。
多くの種類の食品を同時に食べることは、栄養バランスも優れた食事となります。
又、食肉はアミノ酸バランスの良い、良質のタンパク質の補給源として優れていますが、一方ではカロリーの高い脂質も多く含み、食肉だけからのタンパク質の補給では、脂質の過剰摂取となってしまいます。
一般的に、タンパク質の半分を、豆腐などの大豆製品に豊富な植物性タンパク質から摂取することが望まれています。
最近は、大豆を原料として人工肉(大豆ミート)も、食肉売場で販売されるようになりました。
4.お肉の“おいしさ”とは?
この過程を熟成(エージング)と呼び、魚に比べ筋肉組織が密な分、そのスピードは緩慢です。
牛で死後硬直が約1日、熟成期間は数日におよびます。
高温度下(体温のまま)では熟成が早まりますが、微生物の増殖を招くため、一般に一度冷却してから冷蔵して熟成させます。
食べ頃になるまでの時間は、身体の大きさに比例し、鶏、豚、牛の順で長くなります。
(以下の図の通り) 特に、体の小さい鶏は熟成期間が短く劣化が早いため新しさが要求されますが、牛の場合、特に柔らかさを出すために1か月以上といった長期熟成を行うこともあります。
鶏を除けば、肉は新しいものイコールおいしいとはいえないのです。
ただし、店舗に入荷する食肉はすでに熟成を経た食べ頃の肉であるため、規定の商品管理によって期限内に販売し、購入後はなるべく早く食べていただくようにする必要があります。
【 死後、食肉が食べ頃になる時期 】

従って、調理の際は、このジューシーな肉汁を逃がさないようにする必要があります。
■ 肉に含まれる“脂肪”は、肉の風味を引き出す大切な要素となって、その香りが肉特有の食欲を促す効果があります。
最近では、脂肪の少ない赤味の肉が好まれますが、おいしいお肉には、適度な脂肪が必要となります。
■ さらに、肉の“柔らかさ”も重要なキーポイントとなります。
5.食肉の調理方法について
【 料理方法と特徴 】

塩コショウして小麦粉、パルメザンチーズを混ぜた溶き卵をつけて焼くこと
③ から揚げ… 食材に片栗粉や小麦粉を付けて油で揚げたもの ※ 揚げものカロリー➠ 天ぷら(高)> フライ(中) > から揚げ(低)
しかし、食肉は種類や部位によってカロリーや栄養価が大きく異なっています。
例えば、焼肉であれば、タン塩、カルビ、ロースなど主に牛の色々な部位を食べますが、カルビのカロリーは牛タンの約2倍もあります。
特に霜降り肉は、高カロリーで、簡単に言えば、赤い色が濃いほど、低カロリーだと言えます。
さらに、畜種によるカロリーの差も大きく、通常、牛> 豚 > 鶏 の順にカロリーが低くなります。
従って、食肉については、料理のメニューと合わせて、健康的な調理方法についても提案することが求められます。
調理の際に、脂身・皮を切り除いたり、網焼き、フライパン焼き、茹でるなど脂を落とす調理方法を取るなどによって、摂取カロリーが大きく変わります。
■ 肉100gの調理方法によるカロリーの変化

食肉にも様々な種類の商品があり、管理する上で、目的によって分類することが非常に重要です。
食肉部門では、一般的に商品マスター登録時の分類の際に使用されるものと、実際の売場のコーナー分類は異なっています。
食肉部門の売場は、牛肉、豚肉、鶏肉、ミンチ、加工品と大きく5つにコーナー化されていますが、最近では畜種を越えて、「料理用途・メニュー提案型」の分類も実施されてきています。
各社それぞれの考え方で分類や売場のコーナー化が設定されていますので、逐次しっかりと各確認をお願いします。
【食肉部門の商品分類(例)】

しかし、最近では畜種を越え、下記のように料理用途を中心としたコーナー化が増えつつあります。
お客様から見てもわかりやすく、買いやすい料理用途やメニュー提案によってくくられる売場です。


私たちの仕事の第一は、お客様の『 食の安全 』を日々守っていくことです。
スーパーマーケットは、お客様 (地域の生活者)の食生活を支える担い手であり、常に安全・安心な食品をご提供する ことよって、地域のなくてはならないライフラインとしての役割を果たしています。
食中毒が発生した場合、大きな社会的責任が問われます。
食は命に直結していることをいつも認識して衛生管理を徹底して仕事にあたりましょう。
(1)最優先される衛生管理 2011年に5人が死亡する焼き肉チェーンのユッケによる集団食中毒事件が発生するなど、過去には死亡を含む大規模な 食中毒が何度も起きています。
もし、食肉部門であなたの認識不足や気の緩みで食中毒を発生させた場合どうなるでしょうか? 自部門だけではなく、店舗全体が営業停止などの処分を受け、 さらに会社全体にも大きな影響を及ぼすことになります。
最悪の場合、会社がなくなるという事態に発展する可能性があります。
いくら商品加工技術を磨き、見栄えの良い商品が作れるようになっても、安全・安心な商品を提供するという「衛生管理」ができていなければ、何にもなりません。
まず、衛生管理の重要性をしっかりと認識し、基本を身につけることが必要です。
衛生管理とは、食中毒事故等を未然に防ぎ、また、企業の社会的・金銭的損失を未然に防止することです。
具体的には食中毒を防ぐための発生要因となる人・作業環境・器具の汚染を防ぎ、菌の増殖を防ぐための商品の保存・保管のルールを遵守することや温度管理の徹底が大切となります。
手洗い、身だしなみ、包丁、まな板、ダスターの管理、商品の保存方法、ケガ、病気のときの対処法などが会社ルールを細部までよく理解し、徹底することが大切です。




食品を取り扱う一人一人の心掛け、衛生管理の徹底が、食中毒予防の最大のキーポイント
です。
マニュアル通りの十分な手洗いは当然ですが、爪の長い人、髪の毛の不潔な人、白衣の汚れている人など会社の身だしなみ基準をクリアしていなければ、雑菌をばらまいて作業していることになります。
また、手指にケガをしている人は適切な処置をせずに作業している場合も同様です。
調理用具の管理も大切になり、まな板や包丁の除菌、ダスターの使い分けなど、日頃からの心掛けが細菌を防ぐことにつながります。
➋ 細菌を増やさない
細菌は時間がたつと、増殖しますので、迅速な調理・加工を心掛けましょう。
細菌の活動を抑えるために、温度管理が大切です。
売場のケースだけではなく・作業場・蔵庫・冷凍庫の温度チェックに努めて下さい。
➌ 細菌を殺す

(5)食中毒予防の作業の基本3原則
この内のどれか一つが不潔であっては、食中毒が発生する可能性は高くなります。
清潔は、食中毒予防の最も基本となります。
➋ 迅 速 食品は時間の経過とともに劣化します。
菌は時間とともに倍々と増えていきます。
そして、食中毒を起こす菌量にまで増えるのは5~6時間あれば十分と言う程、そのスピードは速いのです。
そのための増殖の時間を与えないために「 迅速 」が必要です。
➌ 冷却または加熱 細菌の増殖は温度により大きく影響を受けます。
一般に細菌の発育にもっとも適した温度は37℃前後ですが、それ以外の 温度でも10~60℃では多くの細菌が増殖可能です。
従って、調理後すぐに食べる食品以外は、10℃以下または65℃以上で管理することが求められます。
(6)サニテーションとクレンリネス 「サニテーション」とは衛生的な清潔さ、殺菌、滅菌を行うことで、「クレンリネス」とは視覚的な照り映えるように磨かれたきれいな状態を保つことと定義されています。
現在は「安全・安心」が第一優先であり、衛生管理を怠ると会社存続の危機になる事件になる可能性もあります。
サニテーションの重要性は各自が肝に銘じるべきです。
また、お客様がお店を選ぶ条件として、お店がきれいであるとは必須条件になっています。
クレンリネスの重要性もしっかりと認識してください。
以下の表に水産売場・バックヤードでのサニテーション、クレンリネスのチェック項目を示しています。
毎日定期的(開店時、ピーク時、ピーク後、閉店時、品だし時など)に売場で実施し、確認をしなければならない項目です。
自分たちの企業にも同じようなチェック項目があるはずですので、何のために行うのか、実践することの目的を理解し、必ず実践してください。
【サニテーション、クレンリネスのチェックリスト】


雑菌はその中に潜み、食品に付着して食中毒などの事故の原因になります。
必ず会社で指定された洗浄 ⇒ 除菌を実施して下さい。
包丁は柄と刃の接合部分に雑菌がたまりやすくなります。
使用後は、刃の部分は当然ですが、接合部分も重点的に洗剤で洗浄する必要があります。
➋ 生食用と非生食用の調理用具などの使い分け まな板や包丁、ダスターなどは「生食用」とそれ以外の「非生食用」に分けることが原則となります。
そして、生食用の食材は、厳重な衛生管理をします。
(8)正しい手洗いの励行 必ず、会社ルールに則って、しっかりと手洗いをします。
● 食品衛生は、手洗いに始まり、食肉は、入荷した時点で既に鮮度低下が始まっています。
どれだけ鮮度を保ち、品質、味のよい商品を提供できるかは、店舗の鮮度管理の技術により決まり、鮮度管理によって、 商品は生きもし、死にもするのです。
特に、鶏肉、ひき肉の鮮度低下は速く、注意が必要です。
(1)鮮度管理の基本
➊ 2℃-20分の原則
品温を2℃以上に上昇させないこと。
そのためにも肉を常温に20分以上放置しない。
【 作業と品温の推移 】
品温が4℃を超えるとバクテリアの活動が活発化 ➠ 鮮度低下

➋ 適切な予冷
トレーに盛りつけた商品を冷蔵庫でもう一度冷やしこんでからラップを行います。
長時間予冷では、水分がとびすぎ、歩留が悪くなるため、30分を目安にします。
➌ ラップの霜の防止
予冷した商品を冷蔵庫から出してきたら、速やかにラップします。
短時間でも作業場に放置するとトレー内部に暖かい空気を閉じ込めることとなり、売場でラップ内側に霜がつきます。
➍ ミートペーパーの使用
トレーへのドリップ流失を防ぐだけでなく、菌を除去し、トレーの中の臭いが少なくなります。
➎ 切れる刃で商品加工
切れない刃で肉を切ると、 切断面に多くの傷がつき空気に多く触れ変色が早くなります。
➏ 在庫と売場陳列量の管理
在庫は多くても1.5日分にとどめます。
売場ケース2段目より上の棚に商品を出し過ぎないようにします。
(2)作業場の温度管理
➊ 作業場内の温度管理
細菌の繁殖を制御するのには、0℃がベストの保存温度帯ですが、作業場を0℃にすることは現実的ではありません。
細菌は20℃を超えると急速に繁殖します。
そこで18℃を作業場の適正温度としているスーパーマーケット企業が多いようです。
➋ 冷蔵庫・冷凍庫の温度管理
(3)売場の冷ケースの温度管理

➊ エアカーテン
噴出し口から吸込み口までの冷気の流れをエアカーテンと呼びます。
店の空調の風や野外からの空気の流れがこのエアカーテンを乱すと、
陳列は冷気の吹き出し口や、
冷蔵の効率が落ちるため、ケース内に引いてあるロードラインより上に商品を陳列しないようにして下さい。

(4)消費期限と販売期限
※ 食品表示法で規定された商品の期限表示
■ 消費期限 … 約5日以内で品質劣化する生鮮品、日配品など長期保存できない食品の期限表示
■ 賞味期限 … 約5日を超えても急速に品質劣化しない長期保存できる食品(缶詰めなど)の期限表示
■ 販売期限 … 各社で上記期限より厳格に、より鮮度の高い商品を販売するためにきめた期限
生鮮食品のほとんどが、上記消費期限の表示となります。
食肉については、公的に定められた次の「食肉に関する期限表示フレーム」の可食期間を消費期限として表示してます。
ただし、各社では通常、この消費期限より厳しい独自の販売期限を設定し、鮮度管理に努めています。
【 食肉に関する期限表示フレーム】

1.食肉部門の作業の種類と1日の作業
■ キーポイント
食肉部門の商品は、加工作業をともない、また時間の経過、温度の上昇により鮮度低下が進みますので、売場での販売量にあわせて、品切れが発生し、チャンスロスとならないように計画的、また迅速に加工作業を実施する必要があります。
全体の流れ、時間帯別の作業内容を知り、担当する業務のキーポイント
を理解してください。
(1)食肉部門の標準的な作業の種類
食肉部門の標準的な主な作業は以下となります。
会社ごと、店舗ごとそれぞれの役割分担に基づいて、計画的にスムーズな作業遂行を行う必要があります。

食肉部門の1日の作業は大きく、開店前、営業中、閉店後の3つの時間帯に分かれます。
全体の流れをつかんだ上で、担当作業の目的とキーポイント
を理解することが大切です。

(1)商品販売量(売上高)と作業の関係
商品作り 陳列 販売 商品作りの繰り返しになっています。
そのため、商品作りから陳列して販売が終了するまでには、30分から1時間くらいの時間が経過します。
時間帯ごとの売場の販売量に対応するためには、全体を4つの時間帯に分けて、商品作りの量・陳列量・売上高の関係を考えることが効果的です。
第1に入店から開店まで、第2に開店からピークまで、第3にピーク時、第4にピーク以降閉店までで区分けして作業を組み立てます。
【 売上高・商品作りの量・陳列量の関係 】
* 10時開店 22時閉店の店舗の例

ただし、本来は売上高=生産量でなければいけないため、時間はズレても同じグラフ曲線を描かなければなりません。
従って、生産と販売の時間のズレは、鮮度の劣化を考慮して、30分から1時間程度に収まらなければなりません。
(2)陳列量と売上高の関係
陳列量も、売上高に先んじて推移します。
基本的に売上高=陳列量が良いのですが、実際には陳列量の方が10%くらい多くなければ、売上高は落ちる傾向にあります。
従って、陳列量=生産量の図式は正しいのですが、売上高=陳列量=生産量とはならないのです。
(3)生産量と陳列量の関係
生産があって初めて陳列が発生するため、陳列は生産の後を追う形になります。
生産量と同じグラフ曲線で陳列曲線があり、しかも陳列曲線が30分くらい遅れるのが理想形ですが、作業効率を考えると陳列回数を減らす必要があるため、陳列曲線は実際にはなだらかな曲線にはなりません。
又、前述のように、当日販売に関係ない商品生産をすればするほど、グラフは変わってきます。
(4)時間帯別の売場作りの例
※ 立地、曜日で異なり、又、各社、各店舗の方針で設定されます。
■開店時
最少・最低の品揃えと陳列量で、多段ケースの下2段と平ケースの全フェイスで奥行の半分を埋める。
※ 1日の販売量の約35~40%が目安。
■ピーク前
アイテム数、SKU数、陳列量が増やしていき、11時30分を目途に売場を商品でほぼうめる。
当日の最高の品揃えで、最多アイテム・SKUになり、陳列量も最高となる。
■ピーク時
当日完売予定品は売り切りを目指す。
※ チラシ商品と売れ筋主力商品の一部(売上高構成比40%以上)以外は品薄状態。
■閉店2時間前
チラシ商品の品薄状態は可。
主力商品も一部以外は欠品があっても可とする。
■ キーポイント
商品作りや陳列作業を任されるようになると常に「なぜこのような売場にして、この商品を販売しているのか」という問題意識を持ちながら仕事をすることで、知識と技術の向上を図ることができます。
理解を深めるために、レイアウトやコーナー割の考え方などの基本知識が必要です。
● 売場は次の手順で作られます。
レイアウト ➠ コーナー割 ➠ 棚割 ➠ 棚割に基づいた商品作り ➠ 販促(装飾)資材の設置 ➠ 陳列
(1)畜種別尺数割り当て(ブロックプラン)作り 売場のレイアウトは、畜種ごとの構成比を調べ、それに基づき売場の総尺数を各畜種に割り当てていくことから始めます。
この際、構成比のみで決めるのではなく、「この商品をぜひ売り込んでいきたい」という意思を反映させることも重要になります。
例)畜種別尺数割り当て(ブロックプラン)モデル
(450坪 食肉部門76尺の例)

(2)コーナー割
畜種別尺数割り当て(ブロックプラン)ができたら、今度は各畜種の中で、料理用途別、銘柄などでコーナー化していく必要があります。
そして、売場を選びやすく、見やすくするためには商品群ごとに縦陳列でコーナー化をしていきます。
商品群毎のコーナーとしては大きく分けると「生食、牛肉、豚肉、鶏肉、挽肉、加工品」に分けられます。
さらに牛肉コーナーの中では「ステーキ、焼肉、切り落とし、薄切り等」に分けられます。
縦陳列の際の最低の幅は60cmとします。
これはお客様が売場に立った時、鮮明に目に映る売場の幅となります。
この中に2つ以上のタテ割コーナーがあると、ごちゃごちゃ見ずらくなってしまいます。
従って売場が狭い店では、2つの品群を1つのコーナーにまとめます。
たとえば、ステーキと焼肉を合わせて1つのコーナーとし、見易さを確保します。
コーナー割のパターンは以下の図のように春夏と秋冬で2パターン作り、通常3月頃と9月頃の2回に分けて変更し、売場を活性化します。
例)春夏・秋冬パターン

2.棚割作り
売場のレイアウト、コーナー割が決定したら棚割表や棚割図を作成します。
これは各々のコーナーに「何を」「いくつ」「どこに」並べるかということが記載されているものになります。
この中には「誰が見ても間違うことがない」「作業の量がパック数でわかる」ように「商品名」「売価」「使用トレー」「フェイス数」「陳列パック数」などを記載しなければなりません。
棚割の仕方は、各社で異なりますが、一般的に棚割表と棚割図が作成されます。
近年はPC(ソフト)画像付きで作成する場合もあります。
(1)棚割表作成の目的
棚割表作成の目的は以下の通りです。
① 部内全員が売場を正しく把握するため
③ より適正な製造数を把握するため
④ 商品補充の作業効率を高めるため
⑤ スポット的な販促後の棚割り復元のため
例)棚割表と棚割図

(2)棚割表作成の注意点
棚割表は品名、売価、トレー、最低陳列量などの項目を入れコーナー毎に作成します。
作成上の注意点は下記の通りです。
① コーナー毎の品揃え品目を決定する。
② 1アイテム2フェース以上は確保する。
③ 主力商品は1SKU2フェース以上とする。
④ 売価、トレーを記入する。
3.売場作りのキーポイント
「売場」とは、販売する立場から見たいい方です。
お客様から見れば、買うところであり「買い場」と表現することができます。
お客様にとってわかりやすい売場づくり原則は以下の3つになります。
1.見やすい
→ 商品がお客様の目に入りやすい
2.選びやすい(買いやすい)
→ ごちゃごちゃしておらず、何がどこにあるのか、売りたいものが分かる。
3.取りやすい
→ 商品がとりやすい状態で置いてある。
基本原則をしっかり踏まえた上で、自店にあった売り場作りを実践して下さい。
(1)売場のイメージはピラミッド状
フェイスは下段展開商品が広く、(最下段は多少ずれる) 境目にはコーナー仕切板を使用し、売り場にメリハリをつけます。
こうするよって、お客様に分かりやすい売場となります。
(3)主力商品は下段(最下段or下2段目)に陳列する。
一般的にPOSデータ金額ベスト50で売上高約60%を占めているため、主力商品は手に取りやすい位置に陳列します 。
(4)主力商品は2フェイス以上で売り上げ確保が原則売場の大きさによっては3フェイス以上
(5)1フェイスの商品は棚板の隣に陳列すること厳禁 側板のすぐ隣に1フェイスの商品が陳列されていた場合、お客様がその商品に気付かない可能性が高くなります。
したがって、側板のすぐ隣には2フェイス以上の商品を陳列します。
(6)装飾資材 POPは必ずつける
〔主力商品・コーナー・インプロ品等)
(7)売り込み商品・売れ筋商品は、客動線トップに陳列

(8)関連販売陳列は必ず行う
(9)陳列は下段から実施(朝の商品補充、追加の商品補充)
・下2段の売場で、1日売上の約70~80%の売上があります。
・平台も下段と同様に扱う。
(10)最下段のみ2段積OK(売上の高い店も下2段まで)
(11)陳列の隙間なくす
欠品していたり、陳列が乱れているとお客さまにとって、とても見苦しい売り場になります。
特に商品と商品の間に隙間があくと見苦しいだけではなく、陳列数が本来よりも少なくなり、効率も悪くなります。
したがって、トレーとトレーの間は隙間がないよう詰めて陳列する必要があります。
どうしても隙間ができるときは、ワサビやたれ等の関連陳列をうまく活用して下さい。
(12)平台の陳列は、縦に端から端まで陳列する。
平台の陳列は1アイテム・1SKUで縦から端まで陳列することが、最もきれいに見えて売上高も上がります。
しかし、商品によっては陳列量が少なく端から端まで陳列できないことがあります。
その時には客動線からいって最後の列(F・G・H)に2・3アイテム交ぜても問題はありません。

《アイテムとSKU》
スーパーマーケットではアイテムとは一つ一つの商品のことを指し、水産部門でいえば「タイの刺身」「タイの切り身」などを各1アイテムといいます。
SKUとはそれら商品をさらに細かくしたもので、「タイの刺身」でいえば、「1人前、2人前、3人前」などとなり、3SKU、「タイの切り身」でいえば「2切れ入り、3切れ入り」などとなり2SKUとなりません。
単身者が多い地域に2人前、3人前のものしかなければ、その商品がないに等しく、いくらアイテムが豊富でもSKUが豊富でなければ、お客さまにとって支持されません。
4.装飾(販促)資材
売場の雰囲気、コーナーの明確化、商品個々の打ち出しの明確化のために、装飾は必要です。
良く使われる装飾資材の名称を覚えましょう。

「売場」とは、販売する立場から見た言い方です。
お客様から見れば、買うところであり「買い場」と表現することができます。
お客様にとってわかりやすい売場づくりのキーポイント
は、次の4要素が具現化されているかどうかです。
① 商品がわかりやすい売場であること
② 選びやすく、買いやすい売場であること
③ 商品が取りやすい売場であること
④ きれいな売場になっていること
(1)ゴールデンゾーン
商品を陳列するときにお客様の視線のある範囲内に商品を陳列することで、見やすく・取りやすく・選びやすくなるのです。
お客様が最も見やすい位置は、目線より20度下がった位置といわれています。
これをゴールデンラインと呼び、このゴールデンラインの中心から上に10度、下に20度の範囲をゴールデンゾーンと呼んでいます。
この見やすいゴールデンゾーンに商品を陳列することで選びやすく、買いやすくなるのです。
水産部門で使用する陳列ケースには多段ケースと平台ケースがあり、その高さを多段ケース1500mm、平台は床上700~800mmに設計されたものが多く導入されています。
ゴールデンゾーンは高さで示すと通常床上65cm~125cmの範囲であるとされているため、平台はこの範囲内にあるといえます。
また最上部などを除く多段ケースもこの範囲内にあります。

(2)陳列の原則
どのような商品を、どの位置に、どのくらい陳列するかは、その商品の売れ行きだけではなく、補充作業のコストや店舗イメージにも大きな影響を与えます。
陳列の一般的なルールとしては、次のような項目があります。
① 以下のような商品は有利な場所、目立つ場所に陳列する。
a.同じ品種の中でも、特に販売量が多かったり、荒利益率の高い商品
b.この時期、この週、この日に、店舗としてぜひお客様に購入して欲しい商品
c.販売計画において販売促進対象になっている重点商品
② 販売量の多い魚種は買い物の便利さのためにSKUを増やす。
③ 各品種とも、その時期の売上高構成比の高い品目から順次陳列する。
③ いわゆる「品揃え商品」のフェイシング数は最小限にとどめる。
④ 季節性の高い商品は、平ケースに陳列する。
⑦ 各コーナーは縦割に陳列する。
(3)陳列量の原則
① 山積み陳列をしない。
商品を3段以上積むような山積み陳列をすると、商品自体の重さで最下段の商品がつぶれてしまい、商品価値が失われる可能性があります。
更に売場全体の見やすさや選びやすさ、取りやすさが疎外されますので、注意することが必要です。
大量陳列は山積みでなく、フェイスを広げて展開するようにする必要があります。
② 多品目少量、多頻度補充陳列
商品の鮮度管理を考えると、多品目少量の多頻度補充を行うことが必要です。
また、開店時の陳列は最低陳列量とし、ピークタイム直前に陳列ボリュームを最大にするといった方法が必要となってきます。
閉店時には、売場在庫が大量に残らないようにするために、閉店時まで品切れさせずにきちんと品揃えするべき商品は何か、当日売り切りのための見切り処分は、どの商品を、何時に、どのように実施するのか、といった点について取り決めておくことが重要です。
8.対面販売の重要性
スーパーマーケットでの販売は主に「対面販売方式」と「セルフ販売方式」があります。
「対面販売」とは、カウンターや陳列ケースを挟んでお客様と相対し、商品の選択や購買を助けながら販売する方法のことです。
一方、「セルフ販売方式」はお客様が販売員と接することがなく、お客様が選んだ商品を自分のかごに入れて購入するというかたちです。
2つを比べてみると、セルフ販売よりも対面販売の方が、お客様に十分な情報やサービスを提供できるというメリットがあります。
そのため、高級・高額品、または商品やサービスについて説明を必要とする商品の販売に適しています。
最近では生魚の調理ができない、食べ方がわからない方も増えているため、鮮魚部門としても、料理提案や食べ方の提案を積極的に行っていく必要があります。
対面販売のある売場では次のことを心がけましょう。
① お客様の顔が常に見えるところにいること
② 従業員の顔や雰囲気に活気があって・お客様が話しかけやすい雰囲気があること
③ 従業員からも積極的に話しかけていくこと
④ 第一にお客様の要望をよく聞くこと
⑤ お勧め品を明確に紹介できること
⑥ 調理方法や料理方法を明確に説明できること
⑦ お客様が持っているさまざまな情報を聞くことができること(競合店情報、苦情、地域情報等)
⑧ お客様の顔と名前を従業員一人あたり50人以上覚えること また、対面販売では商品情報を提供するだけではなく、お客様からの情報を収集するという機能もあります。
様々なクレームを受けるかもしれませんが、そのような意見は非常に重要です。
生の声を収集し、改善に役立てていくべきです。