豚肉の基本

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 お肉屋さんのメッセージ

疲労回復食材の代表だから、その特徴をよく理解し、さらに元気になれて、おいしい料理を作りましょう。

 

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 豚肉の概要と特色

 

 

🔶 豚肉は、鶏肉の次に消費されている食肉です。
淡いピンク色で肉質が柔らかく、脂肪(脂質)が肉と層状になっているため、牛肉や鶏肉に比べカロリーが高いと思われがちですが、近年は脂肪の少ない豚の生産が進み、差はあまりありません。
🔶 豚肉の輸入比率は約50%で、国産豚肉と輸入豚肉の割合はほぼ半々です。
(輸入比率:牛肉約60%・鶏肉約25%)国産豚肉はほぼ100%が冷蔵(チルドポーク)ですが、輸入豚の内、主にスーパーマーケットなどで販売される8チルドポークは約5割で、残りの約5割は主に加工業務用に使われる冷凍品となっています。
輸入のチルドポークのほとんどは、アメリカとカナダが占め、冷凍品は、スペイン、デンマークなどが多くなっています。

➊ 国内のチルドポークの割合 ➋ 国産 ➌ 米国産 ➍ カナダ産 

輸入量、輸入先国の割合は様ざまな要因により毎年、変動しています。
🔶 豚肉の大きな特徴として「疲労回復ビタミン」とされるビタミンB1の含有量があらゆる食品の中でトップクラスで、鶏肉や牛肉等と比べると5〜10倍のビタミンB1を含んでいます。
健康維持のために必要な豚肉摂取量の目安は、1日当り60〜80gとされています。

 

 

【100g当りのビタミンB1の含有量】 

単位:mg

1日当たり推奨量
(成人)
男性 1.3~1.4 女性 1.1

 

豚カタロース 0.72 牛カタロース
[国産乳用種] 
0.06 鶏ムネ 0.05
豚モモ 0.82 牛 モモ
[国産乳用種] 
0.10 鶏モモ 0.07
豚バラ 0.51 牛バラ(カルビ)
[国産乳用種] 
0.05 鶏ササミ  0.09
ウインナーソーセージ   0.69 ハム   0.08 ベーコン 0.09
豚ひき肉  0.35 牛ひき肉  0.70 鶏ひき肉  0.47
バチマグロ
[生] 赤身
0.09 サーモントラウト[生] 0.17 ブリ・ハマチ  0.23
ホウレン草 0.11 ニンジン 0.07 エノキタケ 0.24
バナナ 0.05 ミカン 0.10 リンゴ 0.02
 

🔶 脂肪はカロリーが高い一方、豚肉や牛肉の脂肪に含まれる多くは、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸(脂肪の40~50%)で、適正量であれば、悪玉コレステロールの抑制により血管の健康に好ましい作用をします。

🔶 豚肉の脂肪は牛肉に比べると融点(溶ける温度)が低いため、口中で滑らかな感触があります。
そのため冷しゃぶにしてもおいしく食べることができます。
(肉の融点➠羊肉:50℃前後・牛肉45℃前後・ 豚肉:40度前後・鶏肉30℃前後)
融点は不飽和脂肪酸(含むオレイン酸)が多くなると低く、溶けやすくなり、溶けた脂肪によって食感がなめらかになり、コクを感じます。

 

 

 

 

日本人一人当たりの

    食肉の年間購入量は?

 

豚肉:7.8kg(前年比9.0%増)
鶏肉:6.4kg(前年比11.5%増)
牛肉:2.4kg(前年比10.3%増)

■令和3年 総務省 「家計調査」より

 

 

 

 

 豚肉の種類

 

 

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三元豚(さんげんとん)

 

🔶 三種類の品種の豚を掛け合わせた豚(交雑種)のことで、最も一般的な豚で、現在、世界中で飼育されている豚の80%近くが純粋な品種の豚ではなく違った品種の豚を掛け合わせた交雑種の豚となっています。
理由は、2~3種類の品種を交配させることでより発育が良く、肉質が良い、ばらつきのない豚を育てることができるからです。
🔶 組み合わされた豚は「三元交配豚」とも呼ばれ、日本でも生産される豚の約80%を占めています。
多くが「ランドレース種」「大ヨークシャー種」「デュロック種」の3種類が掛け合わされたLWDと呼ばれる交雑種となっています。

➊ ランドレース種 ➋ 大ヨークシャー種  ➌ デュロック種

 

 

 

 

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銘柄豚(ブランド豚)

 

🔶 銘柄豚には明確な品質評価基準がなく、現在、日本全国で400種類以上の銘柄豚が生産・販売されていると言われています。
🔶 銘柄豚の中で豚の品種による違いがあるのは、全体の約15%で、大半は飼料・飼育環境・飼育日数の違いによって、特徴ある豚が生産されています。
飼料や飼育環境にこだわり、徹底管理のもとに飼育され、一般的な豚肉に対して独自の特徴があり、肉質や味が良いことに加え、品質が一定で年間を通じて定量を、計画的・安定的に生産できることが条件となり、銘柄豚として商標登録できます。
🔶 国内の銘柄豚の多くは交雑種(LWD)ですが、世界的にはスペインの「イベリコ豚」、中国の「金華豚」などが有名です。
国内では、「かごしま黒豚」(鹿児島県)、「平牧三元豚」(山形県)、「和豚もちぶた」(群馬県)、「TOKYO X」 (東京都他) 、「あぐー豚」(沖縄県)ほか全国的に名が知れた銘柄豚が数多く存在します。

 

 

 

 

豚肉の選び方

 

 

豚肉は牛肉や鶏肉と比べ、品質のバラツキが少ない肉です。

牛肉ほど鮮やかな赤色ではなく、淡いピンク色で、やや灰色がかっており、鮮度が落ちると
この灰色が強くなってきます。
又、部位によって少し色が違うため、色の違いではなく、光沢があるものを選びましょう。

 

7 8 ドリップが出ていないもの

 

 

7

きめ細かく、しっとりとツヤがあるもの

 

 

7 赤身は美しい淡いピンク色で、濃淡にバラツキのないもの

 

 

※ 重なっている部分が暗赤色の場合、傷んでいるわけではありません。
空気に触れると赤色に発色します。

 

脂肪は白あるいは乳白色をしていて、赤身と脂身の境界がはっきりしているもの

 

 

 

 

 豚肉の保存方法

 

 

7

「牛肉は外から、豚肉は中から傷む」と言われるほど、豚肉の傷みは見ただけでは、分かりにくいものです。
冷蔵庫での保存期間の目安は以下となります。
スライス:2日 ・ ブロック:3日 ・ ひき肉:その日中

 

 

7できるだけ常温に置かないように注意します。
肉は、酸化、乾燥すると風味がなくなるため、空気に触れさせないことがポイントです。
※ 肉をパックから出して、ラップに包み直し、さらにビニール袋などに入れて保存します。
※ ラップで包む際にクッキングペーパーで肉の水分をふき取ると臭みを抑えることができます。

 

 

7 菌の増殖を抑えるため、5℃以下で保存します。
※チルド室があれば、チルド室で保存しますが、ない場合は冷蔵室の奥の方で保存します。

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 料理の基本

 

 

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必ずしっかりと加熱する

食肉の食中毒の原因は、調理時の加熱不足です。
10 特に豚や鶏は、腸内などに、カンピロバクターやサルモネラ等の食中毒菌を持つことが多く、肉を加工する際に、腸の内容物によって、肉の表面が食中毒菌に汚染される可能性が高くなっています。
そのため、豚肉・鶏肉は必ず中までしっかりと火を通す必要があります。
一方、牛は肥育環境や体質から体内の食中毒菌が少なく、加工の過程でも菌に汚染される可能性が非常に低くなっているため、中が生(レア)でも食べることができます。

11                中が生でもOK                   中までしっかり加熱
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細菌は、肉の中心部まで75℃ 1分以上又は63℃ 30分以上の加熱で確実に死滅させることができます。

 

 

 

 

豚肉の主な部位の特徴

 

 

🔶 豚1頭(約110kg)から取れる食肉部位(精肉部分)は、約50kgと体重の5割程度になります。(牛の場合4割程度)
牛肉は、部位の違いで肉質が異なり、味わいの違いが大きいのが特徴ですが、豚肉は牛肉ほど部位ごとの肉質の違いはありません。
但し、部位によって脂のつき具合が異なり、各部位の特徴に合った調理で料理を作ることで、豚肉をよりおいしく味わうことができます。

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➊ カタ ➋ カタロース ➌ ロース ➍ バラ ➎ モモ ➏ ヒレ ➐ スペアリブ ➑ トントロ ➒ カシラ ➓ タン ⓫ トンソク 

 

カタ
14 🔶主な用途
ひき肉料理・豚汁・シチュー・ポトフ・煮込み料理
🔶 特徴
通常、コマ切れ・ひき肉に使われることが多い部位で部位名で販売されることはあまりありません。
よく動かす部位のため、赤身が多く、肉質はやや硬めで濃厚なうま味を持っています。

 

カタロース
15 🔶主な用途
トンカツ・生姜焼き・カレー・シチュー・炒め物など
🔶 特徴
肩に近くよく動かす部位で、適度に引き締まった赤身と脂のサシがバランス良く入っています。
豚肉には珍しく赤身の中に脂肪が網目状に広がり(サシ)、そのため加熱調理すると、ロースより柔らかくなり、コクのある濃厚な味が楽しめます。

 

ロース
16 🔶主な用途
トンカツ・ポークソテー・生姜焼き・しゃぶし・ゃぶ・焼豚など
🔶 特徴
肉質は柔らかく、赤身と脂身がはっきり分かれていて、きめ細かく、味も豚肉のうま味が凝縮されていて、豚肉本来の味を楽しむことができる万能部位です。
サシが入らないため、カタロースに比べてアッサリしています。
価格はカタロースより少し高めです。

 

バラ
17 🔶主な用途
炒めもの・焼きそば・お好み焼・煮物・焼豚・角煮など
🔶 特徴
ろっ骨(アバラ骨)のまわりの肉で、赤身と脂身の層が交互に3層になり三枚肉とも呼ばれ、カロリーが一番高い部位ですが、肉の甘味を味わいながら、コクと柔らかい食感を楽しめます。
煮込むことで余分な脂肪を取り除くことができます。

 

モモ
18 🔶主な用途
カレー・シチュー・煮物・焼豚・ローストポーク・トンテキなど
🔶 特徴
最も動く部分で、脂肪が少なく、ほとんどがきめが細かい赤身肉です。
高タンパク・低カロリーでビタミンB1が豊富なヘルシーな肉です。
きめ細かくて、アッサリした味わいですが、脂肪がないため、硬くなりやすい特徴があります。

 

ヒレ
19 🔶 主な用途
ヒレカツ・ヒレステーキ・ゆで豚・ソテー・天プラなど
🔶 特徴
一頭から取れる量は全体の約2%という希少な部位です。
最も 高タンパク・低カロリーでビタミンB1が豊富なヘルシーな肉です。
きめ細かく、柔らかい肉質で脂肪分が少ない赤身でありながら、水分が多く、ジューシーでアッサリした味わいです。

 

スペアリブ
20 🔶 主な用途
BBQ・甘辛煮・煮込み料理・デジカルビなど
🔶 特徴
骨つきのバラ肉のことで、部位としては一般的に肩バラが使われ、適度な脂肪があり、バーベキューや焼肉などで重宝され、骨のまわりの肉にはうま味が凝縮されています。
「バックリブ」は、背中側の骨付き肉のことで、あっさりした味わいです。
少なめです。

 

トントロ
21 🔶 主な用途
焼肉・炒めもの・煮もの・角煮など
🔶 特徴
頬から首のまわりの肉のことで、よく動くで部分で、弾力のある肉質で噛みごたえがあり、マグロのトロに例えられるように霜降りで脂が多く、甘味やうま味を楽しめます。
一頭から取れる量は全体の3~5%で希少な部位です。

 

豚肉

            100g当り部位別カロリー

 

➊ バラ ➋ カタロース ➌ ロース ➍ モモ ➎ ヒレ ➏ 単位:kcal